鉄骨屋|鉄骨建築についてわかりやすく解説

JIS K 5674錆止め塗装の役割とは?メーカー別の成分・施工性・価格・納期を徹底比較

鉄骨建築のスタンダード「JIS K 5674 錆止め塗装」の役割とメーカー別特徴

鉄骨造の建物や鉄鋼構造物の耐久性を担保する上で、なくてはならない「錆止め塗装」。現在、日本の建築鉄骨において最も信頼され、標準仕様として広く指定されているのが「JIS K 5674(鉛・クロムフリーさび止めペイント)」です。

本記事では、JIS K 5674が持つ重要な役目から、成分・施工性・価格・納期という実務に直結する4つの視点、そして主要塗料メーカーの動向までを分かりやすく解説します。

1. JIS K 5674 錆止め塗装の「役目」

JIS K 5674の最大の役目は、環境や作業者の健康に配慮(安全性の確保)しながら、鋼材をサビから確実に守ることです。

かつての主流塗料(JIS K 5621など)には、強力な防錆効果を持たせるために「鉛」や「クロム」といった有害な重金属が含まれていました。しかし、環境負荷や工場で塗布する職人さんの健康被害への懸念から、現在はこれらを一切含まない「無鉛・無クロム(クロムフリー)」が時代の要求となっています。

JIS K 5674は、環境に優しい成分でありながら、鉄の表面に強固な保護膜を形成し、水分や酸素による酸化(サビの発生)を化学的にしっかりと抑制する大役を担っています。

2. 「成分」の特徴:環境配慮型顔料と1種・2種の区分

JIS K 5674の成分は、有害物質を排除した「無公害防錆顔料」と、扱いやすい「樹脂ベース(アルキド樹脂・フタル酸樹脂等)」で構成されています。

鉛やクロムの代わりに、リン酸亜鉛縮合リン酸塩カルシウム系防錆顔料などが採用されており、これらが鉄の成分と反応して表面に緻密な「不動態皮膜」を作ることでサビを防ぎます。

また、JIS規格上の「1種」と「2種」は、使用する希釈剤(溶剤タイプ)によって明確に区分されています。

【JIS K 5674の1種と2種の分類】

  • 1種:合成樹脂ペイント(有機溶剤系) 【実質的な標準】 塗料用シンナー等で希釈するタイプ。鋼材への密着性・乾燥性に優れ、鉄骨工場でのプライマー塗装や現場補修のほぼ100%で1種が使用されます。

  • 2種:水性さび止めペイント(水性) 【採用事例は極めて稀】 水で希釈するタイプ。規格上は存在し環境面には優れますが、鋼材への初期サビ(フラッシュラスト)リスクや乾燥速度の問題から、鉄骨製作の現場で選ばれることは滅多にありません。

3. 「施工性」:1液型の手軽さと優れた下地許容性

実務において、JIS K 5674(主に1種)が「最も扱いやすい」と現場で支持される理由は、その優れた施工性にあります。

  • 扱いやすい「1液型」 硬化剤を現場で計量・調合する手間がありません。塗料用シンナーで希釈するだけで、はけ・ローラー・スプレーのどれでもスムーズに塗装できます。「混ぜたら使い切らなければならない」という可使時間の制限もないため、材料ロスがありません。

  • ケレン(下地処理)への許容度が高い 高性能なエポキシ系塗料などは、鉄板のサビや黒皮をブラスト処理などで完全に除去しないと本来の性能が出ず、剥がれの原因になります。一方、JIS K 5674は塗料の浸透性が高いため、多少の微細なサビが残る「3種ケレン(ディスクサンダーやワイヤーブラシ等の手工具)」程度の下地処理でも、鋼材にしっかりと密着してくれます。

  • 工場に嬉しい「速乾性」 初期乾燥(指触乾燥・硬化乾燥)が非常に早いため、塗装後の乾燥待ちによる工場の回転率低下を防ぎ、運搬・積込み時の当り傷リスクを低減できます。

4. 「価格」と「納期」:メーカー別の動向比較

JIS K 5674は各塗料メーカーが最主力商品としてラインナップしているため、コストが安定しており、入手性も抜群です。一斗缶(15kg〜20kg)単位での手配が基本となります。

【主要塗料メーカーの比較一覧】

  • 日本ペイント(ニッペ)

    • 代表製品名(1種): 速乾P.Pさび止め、エスパーワンNo.1

    • 価格の傾向: 流通量トップクラス。標準的な価格帯。

    • 納期の特徴: 【即納体制】全⾬の販売店にほぼ常時在庫があるレベルのため、急な追加発注でも翌日(地域によっては当日)には届きます。

  • 関西ペイント(カンペ)

    • 代表製品名(1種): SDホールド、ラスゴンセーフティー

    • 価格の傾向: 標準的。大口物件でのボリュームメリットが出やすい。

    • 納期の特徴: 【極めて安定】強固な配送網を持っており、現場や工場への直送もスピーディーです。

  • 大日本塗料(DNT)

    • 代表製品名(1種): グリーンボーセイ速乾、サビカットプラス

    • 価格の傾向: 鉄骨工場向けルートに強く、コストパフォーマンスが高い。

    • 納期の特徴: 【極めて良好】重防食や構造物用塗料のシェアが高いため、鉄工所向けのルート便などが充実しています。

  • エスケー化研

    • 代表製品名(1種): サビトロン、SKマイルドサビガード

    • 価格の傾向: 比較的リーズナブルで予算に組み込みやすい。

    • 納期の特徴: 【良好】一般建築向けの流通ルートに乗せて安定して手配可能です。

  • 大同塗料(ダイドー)

    • 代表製品名(1種): ダイドーエコサビ速乾型、2-Times Coat

    • 価格の傾向: 特定の産業・鉄構ルートに強く、競争力のある価格帯。

    • 納期の特徴: 【良好】床用塗料や特殊塗料で強いネットワークを持ち、専門ルートを通じた納期管理がスムーズです。

5. まとめ

過酷な塩害地域やプラントなどの特殊な重防食環境を除けば、一般的な建築鉄骨において「環境に優しく、コストパフォーマンスが高く、誰が塗ってもきれいに密着して仕上がりが早い」というトータルバランスを持つ JIS K 5674(1種) こそが、間違いのない「最適なスタンダード」です。

仕上がりの早さ(施工性)、調達のしやすさ(納期)、トータルコスト(価格)のすべてにおいて、鉄骨工場や建築現場の工期をしっかりと支えてくれる頼れる存在と言えます。

コラム一覧へ
NEW ARTICLE新着記事

お問い合わせ

ご不明な点やご質問などは
下記の電話番号もしくは、お問い合わせ
フォームからお問い合わせください。